2017(平成29)年5月の個人情報保護法の改正により、PTAの扱う会員情報も取り扱いに注意が必要になりました。この法改正は情報収集に対する個人承認を前提としており、PTA会員の情報入手と管理には任意加入の問題と相まって特に注意が必要になっています。
この任意加入の問題については、PTAや保護者会の存在意義についての多くの誤解も見られ、今後各小中学校のPTAや保護者団体には、加入への意思確認に向けたPTAの必要性についての十分な説明が必要になってくると考えられます。
以下1.においては各地域の実情を踏まえ、会員情報の入手に当たって必要と思われることを例示し、2.で収集した情報の適切な管理のための「管理規則」を例示します。また3.ではPTAの任意加入のあり方から「退会の申し入れ」への対応を示します。
1.会員情報を入手する際に気をつけるべき事
会員情報の入手を主にどこが行っているかに分けて、以下それぞれのパターン別に対応の一例を示します。パターンは(1)PTAが単独で情報収集を行っている場合、(2)学校とPTAが共同している場合、(3)主に学校が収集している場合。どれもひな形ですので、各地域の実情に合わせて適宜利用して下さい。
(1)PTAが単独で情報収集を行っている場合
表題: 「〇〇PTA個人情報登録用紙」or 「〇〇PTA 加入申し込み」 加入の意思確認: 「PTAとは、保護者と教職員が相互に協力しながら、子ども達をめぐる環境と会員相互の向上のために活動する団体であることを理解し加入します。 氏名 〇〇〇〇」 提供情報 a. 児童/生徒氏名(転入時には学年も必要) b. 保護者氏名(2~3名程度の記入欄が必要では) c. 住所 d. 電話番号(「連絡の取りやすい番号」との注意書きが必要) e. メールアドレス (SNS等は利用していない人もおり、Line外しなどもあって問題を生みがちな傾向あり) *適宜必要項目を選択して利用する必要があります。
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次のような用紙を作成し、会員の個人情報を収集することが考えられます。
(2)学校とPTAが共同している場合
挿入文例: 「この個人情報は、子ども達の健全な育成のために【学校or PTA】と情報を共有することがあります。」 |
学校とPTAのいずれが情報収集を行っているにせよ、次のような一分を入れる必要があります。
(3)主に学校が収集している場合
挿入文例: 「この個人情報は、子ども達の健全な育成のために PTAと情報を共有することがあります。」
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学校が児童生徒の個人情報を主に取得しPTAと共有している場合も、個人情報の共有ができるよう、次のような文例を入れる必要があります。
2.収集した個人情報の適切な管理のために
個人情報保護法の改正によって、収集した個人情報は適切な管理が必要であり、「管理規則」を決めておく必要があるでしょう。以下「管理規則」を例示しますが、それを総会決議事項とするか役員会や委員会などの取り決めとするかは、各小中学校のPTAの実情によると考えられます。
しかしいずれにせよ、会の会則等で「管理規則」に基づいて管理しておくことの明記は必要になると考えて下さい(PTA会則等の改正の必要性)。また「管理規則」には、災害時や緊急時の教育委員会との情報共有など、特に限られた場合の行政機関などとの情報共有を可能にする条項も入れておく方が良いと思われます。
個人情報管理規則(例)
別紙参照のこと
3.「入退会の申し入れ」への対応
PTAは任意団体であり、憲法の人権規定からも入会の不承認や退会の申し出には、応じる必要があると思われます。
(1)但しその場合も、PTAの理念や活動の現状、地域や学校の実情を踏まえての十分な説明は必要でしょう。
その場合は会員の皆さんの実感や経験に加えて、ぜひPTAの理念や様々な実例集などに基づいた説明をする必要があると考えます。しかしながらそれでも退会の意志が固い場合には、退会を認めざるを得ません。
(2)退会した場合、あるいは入会しない保護者に対する対応の必要性
PTAの活動を考えた場合、退会者あるいは未入会の保護者がいた場合であっても、子ども達に対する活動に差異を作るわけにはいかないと思われます。
活動の内容には実費を伴うものもあり、教育活動として必要なものであれば学校徴収への移管を考慮するか、未加入者にも適切な実費徴収には応じてもらう説明や、その旨の会則条項等を入れる必要があると考えます。
(3)会則に必要な条項
退会承認条項例と退会者or 未加入者への実費徴収条項例
「本会の理念あるいは活動に同意できない場合の未加入や退会を認める。但しその場合も活動の内容上、同意に基づき適切な実費は徴収できるものとする。」等。